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見た目はゆるキャラ・中身はおっさん!?
世にも奇天烈なクリーチャーが登場する『モジャ』

フォトグラファー尾立温美

―次に、実にかわいらしいクリーチャー・モジャが登場する物語です。
「この子は、モントリオールでも、現地のギャルたちに大人気でした(笑)」

―発想の原点はというと?
「過去作の『転がるビー玉』(2020)でお世話になったカエルムさんと“また何かやろう”という話になった際に、『セサミストリート』や『グレムリン』のような、手作り感のあるキャラクターが出てくる映画を作りたいと伝えたのが、きっかけです。他の2作はグロいビジュアルですが、かわいいキャラがいてもいいのではと。最初は、声もかわいい感じにしようかとも思ったのですが、ビールは飲むし、タバコも吸う“中身はおっさん”というキャラクターにしました。モジャの声を担当していただいた関本巧文さんはパペットも担当して下さったので全身筋肉痛になっていました(笑)」

―モジャが女性の声を真似して、オペラを歌うシーンが印象的です。
「あのパートは、声楽家の後藤真美さんにお願いしました。モジャって、自分のことを話したり、自分から話を振ったりするのではなく、相手の話をただ聞いてあげるキャラクターなんです。その中で、少しだけ不器用ながら何かを伝えようとする。あの歌も、モジャなりの返答なんです」

―ああ、確かに、聞き上手なバーのマスターみたいな感じが(笑)。主人公も懐いていましたよね。
「そうですね。主人公が勝手にやっている『オレオレありがとう』という行為については、自主映画で撮った『クリスマスの夜空に』からずっと考えているテーマでして、セルフカバーに近いです。あと、『異物 -完全版-』ではセリフのなかった女優の小出薫さんには、長尺のセリフを与えて見事に演じ切っていただけました。そこにも注目してほしいですね!」

【映画『モジャ』作品情報】
■STORY
ある日、誰かの役に立とうとビルの屋上で「オレオレありがとう」を繰り返すセイヤのもとに、突然隕石が落ちてくる。セイヤが電話を切ると、エメラルドブルーの毛がモジャモジャの見たこともない生き物がそこにいた…。
■STAFF
監督・脚本:宇賀那健一
エグゼクティブプロデューサー:戸川貴詞
撮影:古屋幸一
■CAST
兵頭功海、小出薫、内木英二、関本巧文
2022年/29分/16:9/5.1サラウンド/DCP/カラー

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