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連載30周年を迎える『名探偵コナン』
「コナン離れ」が進んだ時期も?

©2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
©2024 青山剛昌名探偵コナン製作委員会

青山剛昌による原作漫画『名探偵コナン』は1994年に少年サンデーで連載が開始し、単行本1巻は1994年6月に発売された。連載開始から2年後の1996年の1月8日にアニメ1話が放送され、その後、徐々に人気を伸ばしていく。

ストーリーの大筋としてコナンの体を幼児化させた黒の組織を追いかけるという目的があるが、ほとんどの話はコナンが遭遇した事件を解決するという1話完結のものである。

また、コナンだけでなく少年探偵団といった小学生の仲間が登場したり、ミステリーものでありながら、時計型麻酔銃で小五郎を眠らせてコナンが推理するなど、コナンの代名詞ともいえるお約束要素が定着し、幅広い世代に受け入れられていったものと思われる。

そして、アニメ放送開始の翌年である1997年に劇場版1作目『時計じかけの摩天楼』が公開され、その興行収入は11億円。当時の状況においては十分なヒットである。

その後、毎年劇場版は制作されるようになり、シリーズ3作目『世紀末の魔術師』(1999)で興行収入20億円超えとなる26億円を記録。さらに、シリーズ6作目『ベイカー街(ストリート)の亡霊』(2002)では、興行収入30億円超えとなる34億円を記録した。

このように、滑り出しは順調だった劇場版『名探偵コナン』だが、その次の40億円の壁は高く、なかなか超えられなかった。

人気は十分に維持していたものの、コナン映画の興行収入は25億~35億あたりをうろうろする状況が長く続いていた。当初のファン層がそろそろ大人になる頃合いで、世代交代が円滑にいかず、コナン離れが進んでいったというのも要因として考えられるだろう。

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