ホーム » 投稿 » 日本映画 » 劇場公開作品 » 「コナン離れ」のピンチを救った作品は? 劇場版『名探偵コナン』が「国民的映画」となった2つの意外な理由を考察&解説 » Page 4

第2のターニングポイント
キャラクター性を重視した構成

C2023青山剛昌名探偵コナン製作委員会

アクション要素の増加に加えてもう一つ見られた変化が、キャラクター性を重視した構成になったことだ。

『名探偵コナン』は主人公であるコナンが事件を解決するのが基本だが、コナン以外にも服部平次や怪盗キッドなどのサブレギュラーキャラクターも時おり登場していた。そして、2010年ころまでは劇場版に登場するキャラクターは毎回ほぼ固定で、稀に服部平次や怪盗キッド、黒の組織を中心とした作品もあるという流れだった。

ところが、18作目『異次元の狙撃手』では、赤井秀一などのFBIのメンバーが映画で初登場し、20作目『純黒の悪夢』では黒の組織に潜入する安室透や水無怜奈が初登場するなど、原作における主要人物が登場し、映画の中心となるパターンが増えていったのだ。

これがコナン映画の人気をさらに加速させていく。キャラクターの面でいえば、特に安室透の影響が大きいと見られる。安室が登場した『純黒の悪夢』で大きく興行収入が伸ばしたことは前述したが、安室の所属する公安警察がテーマとなった22作目『ゼロの執行人』(2018)の興行収入は91.8億円と、前年から更に20億円以上も記録を伸ばしている。

この安室透は劇場版シリーズにおいては『純黒の悪夢』で初めて登場したキャラクターだが、『純黒の悪夢』から『黒鉄の魚影』までの7作中4作に登場しており、現在にまで至る劇場版『名探偵コナン』シリーズ大ヒットの火付け役と言えるだろう。

1 2 3 4 5