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「“映画はこうじゃなくてはならない”という枷を外すべき」映画『SINGULA』堤幸彦監督インタビュー。作品への想いを語る

text by 福田桃奈

人気テレビドラマ『池袋ウエストゲートパーク』や『SPEC』、『トリック』をはじめ、数々の名作ドラマの演出を手掛けてきた堤幸彦監督。その最新作となる映画『SINGULA』が5月10日より公開された。今回は堤幸彦監督にインタビューを敢行。本作に掛ける想いから、常に新しい試みをし続けるその秘訣など、たっぷりとお話を伺った。(取材・文:福田桃奈)

「現在の映像技術を持ってすれば1人で出来るんじゃないか?」異色のAI映画の制作に至ったワケ

『SINGULA』(シンギュラ)
CSINGULAfilm partners 2023

―――『池袋ウエストゲートパーク』に始まり、『SPEC』や『トリック』が大好きだったので、今回お話を伺えて光栄です。本作は15体のAI同士が“人類を破滅すべきか”について討論するという内容です。元々は同名の舞台作品でしたが、その公演を堤監督が観劇されたことから映画化に繋がったそうですね。経緯について詳しくお聞かせください。

「一ノ瀬さんがお作りになった同名の舞台に、何人か知り合いの俳優も出ておりましたし、タイトルだけでは全く想像できずに観に行ったら、演劇でもあり、音楽劇でもあり、踊りの要素もありでびっくりしました。要素の多彩さもさることながら、アンドロイド型ロボットが人間の記憶を植え付けられていて、それぞれ善もあれば悪もあり、それが展開していくという芝居の在り方にとても感動しまして。

終わってすぐに一ノ瀬さんに『ご自身で映画化された方がいいんじゃないですか?』と話したところ、それが記憶に残っていたのか、数ヶ月後くらいに一ノ瀬さんから『色々と整いそうなのでやりましょう。監督は堤さんで』って言われて、『あ、僕なんですか?僕でよければ喜んで』というのがざっくりした経緯です」

―――本作は俳優のspiさんが1人15体のAIを演じていますが、どのようにしてその発想に至りましたか?

「最初はアイスランドへ行って現地オーディションでやろうって思ってたんです。というのもアイスランドにはアーティスト・ビョークを生んだレイキャヴィークという眠らない街があって、そもそもこの作品、昼がない白夜の国のイメージだったので、そういった場所でやったら面白いかなと思ったのです。そこで脚本を英訳してアイスランドへ行こうと思っていた矢先にコロナ禍になって難しくなってしまって…。

英語でやりたかったので、日本でやるにしても15人の英語が堪能な人を見つけるのは大変だと思っていたのですが、ある日寝ていたら『現在の映像技術を持ってすれば1人でも出来るんじゃないか?その方がインパクトがありそうだ』と思いついて、夜中の1時頃でしたがすぐに一ノ瀬さんに電話して『英語が堪能な人知っていますか?』と聞いたところ、『spiくんという2,5次元で活躍している面白い人がいる』と紹介していただきました。で、彼からも『大変そうだけど面白そうなのでやります』と言っていただいてスタートしました」

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