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「小学生の頃の自分に向けて映画を撮っている」
ホラー映画の記憶を掘り起こす

写真:武馬玲子

写真:武馬玲子

 

――浅井に対するジヨンの殺意が明らかになってからは、ホラー映画としての色合いが一層濃くなっていきます。随所に『シャイニング』(1980)やJホラー作品などを連想させる描写をなさっていますね。そういった意味では、山下監督の映画史的な記憶がピュアな形で出ているのかなと思いました。

「それは間違いないですね。僕は学生時代からホラーが大好きで、小学生の頃は、『遊星からの物体X』(1982)とか、今回参考作品に挙げた『死霊のはらわた』(1981)なんかをあさるように観ていました。今回、僕としては、あの頃の自分に向けて作っているような気持ちもありました」

―――『どんてん生活』(1999)以前にはゾンビものの短編をお撮りになっていましたね。本作を撮る上で「初心にかえる」といったお心持ちもあったのでしょうか?

「実は最初はホラーテイストにするつもりではなかったんですよ。企画段階では、もっとサスペンスというか、心理戦で見せていく作品を狙っていたのです。でも結局、生田斗真、ヤン・イクチュン、僕という座組で作品を煮詰めていったら、なぜかホラーに近づいていった。それはイクチュンさんの破壊力のある芝居が寄与する部分が大きいと思います」

――山下監督は、ホラー映画のどんなところに惹かれたのでしょうか?

「一言で言えば、隙間があるところですね。『よく考えたらあそこおかしくない?』みたいな。僕もよく取材で敬意を持って“B級ホラー”って口走っちゃうんですけど、ホラーってそもそも宿命的にB級っていうレッテルを貼られるジャンルだと思っていて、個人的には“A級ホラー”は存在しないのではないかと思っています」

――面白いですね。

「『シャイニング』は隙間しかないような映画だから良い例ではないんですけど(笑)、『死霊のはらわた』辺りは本当に没頭させられて、観終わった後に時間差で『あそこ、何だったんだろう?』と引っ掛かる部分が出てくる。

実は『告白 コンフェッション』もそうした系譜にある作品だと自分では捉えていて。そういう作品を作れたことをすごく嬉しく思っています」

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