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「若者と共存するためにも、世のおじさんたちに観てほしい」時雄と横山芳美の複雑な関係の解釈

写真:岡野はるか
写真岡野はるか

ーーー横山芳美役の秋谷百音さんと、ディスカッションはしましたか?

「ディスカッションと言うか、撮影の合間に普通の雑談は少ししていました。秋谷さんがガンズアンドローゼズ(※アメリカの古参人気ハードロックバンド)のTシャツを着ていて、秋谷さん、世代でもないのな~と思って 『ガンズ、好きなんですか?』みたいな話をしたんです。そしたら、『お母さんが好きで、来日すると必ず観に行くんですよ~』といった、演技とは関係ない話とか。想像していなかった秋谷さん像が垣間見れて楽しかったですよ(笑)」

ーーーああ、斉藤さんはガンズ世代であり、おそらく秋谷さんのお母さん世代ですものね。

「そういうことです(笑)だからね、今、おじさんが若い子に話しかけることの怖さみたいなのって、あるじゃないですか。そういうことも含めて、こちらからは必要以上に話しかけなかったです。そしたら、秋谷さんもそれを察したのか、いい具合に距離を置いてくれていたような気がします」

ーーー時雄が、横山に距離を置かれた時のような感じに近い気が。

「ああ、そんな感じだったかもしれません。うん、だから、それがいい意味での役作りへのディスカッションだったのかもしれませんね(笑)」

ーーーとても興味深いです。

「ただ、本当に自分が歳を取ったんだなっていうことを、すごく感じました(笑)あと、もしかしたら、 秋谷さんの方が台本を読んだ際に、芳美に入り込むため、空き時間にはそういう感じに接するように意識していたのかもしれないです。うん、そう思いたいです(笑)」

ーーー時雄と横山芳美との関係性は、色んな意味で複雑でしたね。

「自分の弟子が、自分より才能があって売れていって、その子のことを女性として好きになってしまうんですからねえ。そして、芳美の彼氏である田中くん(兵頭功海)に、自分のウィークポイントを辛辣に突きつけられる。でも、その言葉は、ある種、自分でも一番気づいていることだったりしてね。

もう、言うな!もう、わかってるよ!みたいな。『あなたは作家として終わってるんですよ』というセリフは、『あなたは役者として、終わってるんですよ!』と、言われた事と同じ意味だと捉えると、ものすごい恐ろしい言葉だなと(笑)」

ーーーそれは俳優さんならでは感覚ですね。

「いや、現実社会では、どんな職業の人でも、そういう戦いの中で、日々、おじさんたちは生きているわけで。『わかってんだよ、そんなこと!』ということを気付かせてくれた上でも、良い会話のシーンだったと思います。とにかく、若者と共存するためにも、世のおじさんたちに観てほしいです(笑)」

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