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「救いがある分、傷がまた深くなる」
主演俳優が語る二面性のある場面とは

写真:岡野はるか
写真岡野はるか

ーーー時雄が田中くんに最初に会った際の「芳美と別れてくれ」と、ムキになって言うシーンも大好きです。

「ああ、あそこは、時雄の感情剥き出しで。言ってることデタラメですけどね(笑)」

ーーー時雄最高でした!あと、夫婦仲が冷めていた妻である竹中まどか(片岡礼子)が、最後の最後に時雄の救いになっているという。

「そうですね。妻が『あなたが好きなもの書けばいいよ』と言ってくれた優しさは、演じていて本当に染みましたね。でも同時に田中くんに色々言われて、『俺に本当に書きたいものはないんだ』という絶望も、今一度、気付いてしまうシーンだとも言えるんです」

ーーーああ、なるほど。

「救いがある分、傷がまた深くなるという二面性のある場面だったなと思っています。あと、片岡さんの絶妙な演技も最高ですね。本当に妻から言われているような染み入り方でした。」

ーーー時雄がビールを飲みながら走って転ぶシーンも、哀愁が。

「あんなことしちゃ、ダメですよねえ。酔っぱらってなくても、おじさんはコケるんだから(笑)」

ーーーそして、衝撃のラストシーンだったわけですが。

「結局、タイトルでもある自分が恋をした女性が寝ていた蒲団から立ち上がるという物語なんです(笑)カそこに純愛の形をいかに表現できるかという。

あと、ラストシーン近くのバックは、夕日なんですよね。それって、皆に平等に日は落ちて、また登るということを表わしているのかと。

山嵜晋平監督と、そのような傷ついたおじさんが、もう一度立ち上がる成長物語であるということであるとは、共通認識をしていました。まだまだ、おじさん、頑張るよ!と、色んな意味で伝わってもらえたら、嬉しい限りです」
(取材・文/ZAKKY)

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