出口亜梨沙 「この作品は華の成長物語」
クライマックスのシーンについて
―――個人的にちょっと疑問だったのは、すべてが終わった後に、華が妹の玲を抱きしめるシーンで、いろんなことがあったあとに、果たしてあんな風にできるだろうか、と思ったんですね。出口さんの解釈をぜひお伺いできますか?
出口「私は華を、ちょっと少女っぽいあんまり世間を知らないようなイメージを持っていて。この作品は華の成長物語だと思うんです。最後は自分の意志を持ってはっきりと行動をするけど、最初はそんな感じじゃないんですよね。子どもっぽさが残る母親でした。
でもあのシーンにたどり着くまでに華もいろいろな経験をして、自分は妹のことを責められないというか、許すしかないのかなというか……難しいんですけど、あそこはもう、最後に妹の顔を見て、全部なくなっちゃったわけじゃないっていう、ホッとした気持ちとかもありました。
私は実際に妹がいるんですけど、同じことが起こっても、多分ああなると思います」
木ノ本「僕はそのシーンを見て、許そうと思って抱きしめてるんじゃなくて、抱きしめたいから抱きしめようとして、それを受け取った我々がこれは許そうっていう行動なのかなって解釈をしてるんじゃないかなと思いました。
許したんだと解釈した人にとっては多分この映画にとっての救いになるし、なんで抱きしめられるんだよって憤慨する人にとってはそういう結末かもしれない。結果を決めての行動じゃないっていうのが、僕は華の行動原理のとてもいいところだと思っているので、それがとても綺麗に見えるシーンだなと思いました」