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「河合優実はモノが違った」映画『あんのこと』入江悠監督、単独インタビュー。制作のきっかけとなった「2つの出来事」とは?

text by 司馬宙

「不適切にもほどがある!」(2024年、TBS系列)で大きな話題を呼んだ女優、河合優実。そんな彼女が主演を務める映画『あんのこと』が公開中だ。機能不全の家庭に育ち、麻薬に溺れながらも生きる道を見つけようとする少女を描いた本作。今回は、監督をつとめた入江悠氏にモデルとなった事件や俳優の魅力についてたっぷりとお話を伺った。(取材・文:司馬宙)

制作のきっかけとなった「2つの出来事」

写真:武馬玲子
写真武馬玲子

――作品を拝見しましたが、杏の壮絶な人生に胸をえぐられるような壮絶な印象を受けました。本作は、実話がもとになっているとのことですが、具体的にどういったお話がもとになっているのでしょうか。

「4年くらい前に僕が読んだ新聞の記事がもとになっています。薬物から立ち直った女の子が学校に通い始めるというものだったんですが、後日、その子が自ら命を絶ったという記事が掲載されていて、とても衝撃を受けました。

また、コロナ禍で親しい友人を亡くしたという僕自身の経験も大きいです。その方が亡くなったのは、コロナウイルスが直接の原因ではないのですが、ある日突然連絡が取れなくなって後日訃報を受けたんです。あの時に何かしてあげられたことがあったんじゃないかという忸怩たる思いが脚本執筆の動機になりました」

――確かにコロナ禍中は、多くの人が孤立した状況に置かれましたね。

「そうですね。僕は、SF小説をよく読むんですが、社会全体を揺るがすカタストロフって大体10年おきに来ると感じていて、今後もこういったことは起こると思っています。なので、撮影では、いつかまたカタストロフが起きた時に、よりよい振る舞いができる人間になりたいと思いながら撮影に臨んでいました」

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