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古谷「自分は人に愛されたい」修行での気付き

写真:武馬玲子
写真武馬玲子

―――本作では和尚さんが20年間禁欲をしている設定でしたが、実際に修行した時に、和尚さんの人間的な面を見ることはありましたか?

古谷「いやむしろ全然住職感が無かったですね。すぐ怒るし、毎晩筋トレしてるし(笑)。僕が修行に参加した次の日に僕と同じ年の人が来て、意気投合して『お互い頑張ろうね』とか言っていたのに、その子は次の日の朝帰って(笑)。その時に、本当に和尚さんなのかと疑うような怒号が聞こえてきて…。もっと仏みたいな人を想像していたんですけど、全然違いましたね(笑)」

―――和尚さんも人間ですね。修行して変わりましたか?

古谷「何も変わらなかったですね。人が変わったかどうかは周りが判断するものじゃないですか。自分で『俺変わったぜ!』って言っている奴って変わってないと思うし、自分では変わったとは思わないけど、気付けたことは沢山ありました」

―――具体的にどんなことに気付けましたか?

古谷「なぜ俺は役者を始めたんだろうとか、今の自分になるまでのことを考えたりして、その時に結局自分は人に愛されたいんだろうなって思ったんです。でもじゃあそもそも愛ってなんだろうみたいなことを延々と繰り返して。そういうのもあって毎日日記を書いていました」

工藤「メインビジュアルの字は古谷君の直筆の日記から引用しているんですよ。汚い字ですよねぇ〜」

古谷「いいでしょ! 人に見せると思って書いたんじゃないんだから。これでも小学校6年間、習字の賞を逃したことないですからね」

工藤「人格を疑いますよね」

―――(笑)。完成した作品を観ていかがでしたか?

古谷「主演で映画を撮らせていただいて、しかも自分の実話に基づいた話で、こんな有難いことってなかなか無いと思うんですよ。まだまだ勉強不足な部分を思い知らされましたけど、この時出来る限りの精一杯は出来たかなとは思いますし、これが結果なので、これで勝負していくしかないなと思っています。でも本当に鈴木太一さんの脚本を読んだ時は、“これだ!”と思いましたし、撮影はやっぱりとにかく嬉しかったし、楽しかったですね」

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