「京本大我と古川琴音の素が出ている」2人にアドリブを任せたワケとは? 映画『言えない秘密』河合勇人監督インタビュー
text by タナカシカ
SixTONESの京本大我単独主演映画『言えない秘密』が6月28日に公開。今回は、メガホンをとった河合勇人監督に、美しいピアノの旋律で繋がる珠玉のラブストーリーとなった本作について、脚本作りや、主演を務めた京本大我、ヒロインを演じる古川琴音の2人との共同作業についてたっぷりとお話を伺った。(取材・文:タナカシカ)
「原点復帰したと思う」ピュアなラブストーリー
―――雪乃の秘密を知ったあとに微笑ましい出会いやデートシーンを思い返すと、胸が締め付けられるような感情になり、何度も見返してかみしめたくなる素敵な作品でした。プレス資料によると、2007年の台湾映画『言えない秘密』に山田実プロデューサーが出会ったことで本作が企画されたそうですが、河合監督は元々オリジナルがお好きだったそうですね。
「そうなんです。だから、まさかあの作品をリメイクしようなんて思わなくてびっくりしました。ただ好きだったっていうのもあるので、自分でリメイクするんだったらどうしようかな…とは思いました。もちろん原作の大事なところは外せないにしても、リメイクをわざわざ作る場合、同じことやってもしょうがないので」
―――オリジナルは台湾の作品ですが、日本とは文化が異なるため工夫が必要になったかと思います。海外作品を脚本に落とし込むときに意識した部分はありますか。
「当時観たときに、どこか日本の古き良き雰囲気がある作品として受け取ったんです。確かに舞台は台湾ですし、言葉やセリフは違いますが、登場人物とか街や建物の雰囲気などに、日本の穏やかな情緒があるなと。だから本作でも、現代の日本で失われてしまったノスタルジックな雰囲気を出せるよう、意識しました」
―――河合監督は、これまでラブコメ作品を多く手掛けられていますが、本作はこれまでとは少し異なるテイストの作品になっていますね。今回、どのような思いがあって臨まれたのでしょうか。
「元々デビュー作となった映画『花影』(2008)は、ピュアで真っすぐなラブストーリーで、個人的に、原点回帰したと思っています。でも、むしろそういったストーリーの方が好みではあるんです」