「浮かれた人間にならずに成長していたい」
俳優として生きる覚悟
―――あすかさんは、鑑賞した映画の感想を書かれるそうですが、書くことでお芝居の表現にも活かされますか?
「今まで自分の感性や感覚を頼りに演じていたということに、40歳手前になって気がついて、自分の気持ちを言語化することに力を入れた方が、50歳になった時にも少しは浮かれた人間にならずに成長できるんじゃないかという期待を込めて始めたんです。やっぱり自分の気持ちを言語化するのは弱い部分でしたから…。
でもそれをすることによって、役へのアプローチや台本の解釈の仕方も変わってくるんじゃないかなと思います。年齢を重ねても、まだまだこの世界で必要とされる俳優でいたいので、学びのためにやっています」
―――素晴らしいです!本作は、デヴィッド・クローネンバーグ映画を彷彿とさせました。
「お好きですか?」
―――好きです。
「私は苦手なんですよ(笑)」
―――そうなんですか!?今回の靴の造形や、少しグロテスクな部分を含めそう感じたのですが、あすかさんはどういった作品がお好きですか?
「今のお話を聞いて思ったのは、残酷なものは嫌いじゃないんです。私は北欧の作品が好きなんですけど、例えばカミソリで人間の背中にスーッと刃を入れて、切られたところから皮膚が剥けていって、その傷口を見ていくような、そういう冷たさが表現されている作品が好きです。
最近だと、映画『MEN 同じ顔の男たち』や『LAMB/ラム』、あとは子供が超能力を使う『イノセンツ』とか好きですね。やっぱりホラーとは違うんですよね」
―――人間の怖さや残酷性が表現されている作品は、ホラーよりも怖いですよね。最後に本作をこれから観る方にメッセージをお願いします。
「ユリの背中を通して、1人の女性が生きていく人生の歩き方を一緒に見守ってほしいなって思います」
(取材・文:福田桃奈)
【作品情報】
黒沢あすか
石澤美和 川添野愛 橋津宏次郎 もりゆうり ジャガモンド斉藤
詩歩 木村保 清水守蔵 保田ヒロシ 安保匠 三土幸敏
監督・脚本・編集:梅沢壮一
音楽:中川孝 撮影:清水チカシ 照明:小舟統久 録音:大竹修二 スタイリスト:池田友紀
ヘアメイク:高橋雅子 美術・特殊メイク:ソイチウム VFX:岡野正広 水谷しゅん
助監督:田中峰弥 制作:長島紗知 配給:ソイチウム
宣伝・配給協力:平井万里子 宣伝美術:鈴木規子
2024/日本/カラー/5.1ch/シネマスコープ/84分
©「歩女」ソイチウム
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