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「眞栄田郷敦は天才じゃなく努力型」映画『ブルーピリオド』萩原健太郎監督インタビュー。敢えてリアルな撮影に挑んだワケ

大人気漫画を原作とした映画『ブルーピリオド』が8月9日(金)より公開される。1枚の絵をきっかけに藝大合格を目指して奮闘する主人公・矢口八虎を眞栄田郷敦が演じた本作。今回は、監督を務めた萩原健太郎監督にインタビューを敢行。キャラクターの心情を表現するためにこだわった撮影方法などをたっぷりと伺った。(取材・文:タナカシカ)

『ブルーピリオド』の映画化はチャレンジな企画

映画『ブルーピリオド』
メイキングカット、左から萩原健太郎監督、眞栄田郷敦

―――作品を拝見させて頂きましたが、八虎の一生懸命な姿と、その苦しさを表現しているような、そんな演出に身を乗り出していました。本作は、「マンガ大賞2020」を受賞した漫画が原作ですが、元々原作は読まれていたのでしょうか。

「今回、お話いただいてから読みました」

―――監督のお話が来てから関わるまで、どのような流れがあったのか、お聞きできますか?

「映画化の話が来てから原作を拝読させていただいて、内容が面白かったということはもちろん、映画にするにあたり非常にチャレンジングな企画だと思ったので、『是非やらせてください』と返答しました」

―――チャレンジングな企画というのは、どの辺でそう感じたのでしょうか。

「ストーリーの軸が“受験”ということで、非常にシンプルに感じたからです。バトル系やスポ根作品と比べて、受験が主軸の本作はアクションが小さく、限られてくるんです。だから、映画としてお客さんを飽きさせず、どう表現できるかという点でチャレンジしたかったんです」

―――本作は、学生ならではの不安や葛藤、人に相談するまでに至らない苦しみなど、言語化できなかったものを代弁するような表現に、共感を抱く読者が多いように感じます。今回、どのような思いで撮影に臨まれたのかお聞きできますか?

「原作があるものなので、原作の良さ、読者が好きな部分をちゃんと残しつつ、でも漫画ではなく映画でしかできない表現を目指そうということを最初に考えました」

―――原作者の山口つばさ先生は、主人公・八虎が目指す東京藝術大学を実際に卒業されています。山口先生とは脚本についてお話しされましたか?

「山口先生とは、脚本を作っている段階ではお会いできていなかったんです。初めてお会いしたのは、クランクインの前、全員で絵の練習しているときでした。その時の、キャストたちの熱量だったり、映画を作るうえで、しっかり “絵”というものに向き合っているというところが伝わって、そこからすごく信頼してくださったんじゃないかなと思っています」

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