『MIU404』綾野剛&星野源バディの魅力
野木が描くキャラクターはどれも演じる役者との相性がいい。『MIU404』では、4機捜に配属されたキャリアの新米刑事・九重を、水上恒司(当時は岡田健史名義)が演じた。
水上はその2年前に塚原監督が演出を手がけた『中学聖日記』(TBS系、2018)でデビューしたばかりであり、このドラマで役者としてさらに一段階ステップアップしていく彼の姿と、当初は傲慢で想像力に欠けていた九重が4機捜の面々と接する中で人間として成長していく姿がリンクし合って物語に深みをもたらしている。
また同作では、綾野剛と星野源という塩顔好きにはたまらないありそうでなかったバディっぷりが最大の見どころで、機動力と運動神経は抜群だが、考える前に身体が動いてしまうお調子者の伊吹(綾野)と、理性的で観察眼に長けているが、自分も他人も信用しない陰のある志摩(星野)が正反対ながらも歩み寄っていく姿は萌えの要素が詰まっていた。
警察の男社会の中で強い風当たりを受けながら、強い正義感で4機捜を率いる頼もしいリーダーの桔梗(麻生久美子)、ベテラン機捜隊員でコンビを組む九重に人として大事なことを教える陣馬(橋本じゅん)も作品を強固に支える存在だ。
そうしたひと癖もふた癖もある登場人物一人ひとりに積み重ねてきた歴史があることが、野木の繊細な心理描写からは伝わってくる。だからこそ、熱狂的なファンダムが生まれ、ドラマが最終回を迎えた後も長く愛され続けるキャラクターとなるのだ。
そんな彼らが、公開中の映画『ラストマイル』で再集結を果たす。邦画史上、稀に見る壮大なスケールの物語にそれぞれがどのような形で関わってくるのか。ネタバレを食らう前にいち早く劇場で野木の真骨頂を堪能したい。
(文・苫とり子)
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