「作品をみんなで作っていくという感覚」
初座長の苦い経験をバネに
写真:武馬怜子
―――この映画は、榊原有佑監督、武桜子監督、野田麗未監督という3人の共同監督作品ですが、撮影現場では役割分担をして、山下さんのお芝居を演出されていたのでしょうか?
「監督の役割はそれぞれあったとは思いますが、シーンごとに監督が変わるのではなく、どのシーンにも3人がいてくださいました。ずっと芝居を見て、アドバイスをくださったので心強かったし、すごくやりやすかったです」
―――マモルは小学生、中学生、高校生の幽霊と対峙しますよね。彼らとのやりとりがこの映画の鍵になっていますが、撮影現場ではいかがでしたか?
「みんな可愛かったです。撮影合間にはルービックキューブで遊びました。子供達の間で流行っているらしく、今は立方体だけでなく、いろんな形のルービックキューブがあるんですね。それぞれ持参していましたよ。楽しかったです」
―――今回、主演なので山下さんは座長ですが、プレッシャーはありましたか?
「座長として自分が引っ張るという気持ちではなく、みんなで一緒に頑張ろうという気持ちの方が強かったですね」
―――グイグイ引っ張るタイプではないんですね。
「実は初めての主演作のとき『自分が現場を作っていかなくては!』と意識して頑張ったことがあったのですが、空振りだった経験がありまして…。現場は問題なく、いい雰囲気の中で仕事ができたのですが、自分的には“これじゃない感”が拭いきれなくて」
―――なるほど、そういう経験をされたんですね。
「だから今回は座長ということは考えず、作品をみんなで作っていくという感覚で臨みました。撮影していたのはすごく寒い時期だったから、みんなで声を出して気分を上げていこうみたいな。リーダーシップを発揮するのではなく、みんなで仲良く並んで進んでいきましょう! という感じでした」