「選んでよかったなと思っていただける人間になりたい」映画『夏目アラタの結婚』出演・丸山礼インタビュー。俳優業への思い
text by 根津香菜子
『TRICK』や『SPEC』シリーズなど、数々の話題作を手掛けてきた堤幸彦監督の新作映画『夏目アラタの結婚』が9月6日（金）より公開される。今回は、柳楽優弥演じる主人公・夏目アラタが勤める児童相談所の先輩・桃山香に扮した丸山礼さんのインタビューをお届け。役づくりについてや作品の見どころなどを伺った。（取材・文/根津香菜子）
「作品に携わる喜びが不安を打ち消した」
原作漫画を読み込むことで気付いた自分の強み
写真：Wakaco
―――本作の出演と役が決まった時の率直なお気持ちを教えてください。
「ありがたいという気持ちはもちろんですが、キャストの皆さんや堤（幸彦）監督と、実力派の大物が揃いすぎていたので、自分にできるのだろうかという不安が同時に押し寄せてきました。
お話をいただいてから原作の漫画を読んだのですが、乃木坂太郎さんの描写って、顔の筋肉を巧妙に使った表情や、体も細部まで描かれているんですよ。心情がすごく伝わってきてどんどん読み進んじゃいました！ この作品に携われる喜びが、不安を打ち消していきましたね」
―――表情筋にも着目されるのは、丸山さんならではですね！
「映画にした時も、そういった部分は絶対に意識しながら撮るだろうなと思っていました。私は人と話していても、よく『顔がうるさいね』って言われるので、それは絶対に活かせる自分の強みだと思いました」
―――脚本や演出のどんなところに魅力を感じましたか。
「不気味なのにユーモラスさもある堤監督の“堤イズム”を感じましたね。拘置所の上空から撮った格子柄のマークが実は物語の伏線になっていたり、音の使い方も場面をさらに盛り上げるような効果になっていたり。
そんな中で、黒島（結菜）さん演じる真珠が何よりも不気味で、それはもう並大抵の恐怖じゃなかったんです。静かな中にも煮えたぎる何かを持っている人だなという印象を受けたので、その真珠を中心に、アラタをはじめ周りの人たちがどれだけ彼女の心を解きほぐすか、という思いがきっとそれぞれにあったと思うんです。私も真珠と面会室で対面するシーンがあったので、そこは特に意識していました」
