「男性ならスオミに振り回される気持ちがわかる」映画『スオミの話をしよう』戸塚純貴、インタビュー。喜劇を演じる難しさを語る
text by 斎藤 香
三谷幸喜監督の5年ぶりの最新作、ミステリーコメディー映画『スオミの話をしよう』が9月13日(金)に公開される。今回は、5番目の夫である寒川しずお(坂東彌十郎)の世話係の乙骨直虎を演じた戸塚純貴へインタビューを敢行。出演依頼の経緯、三谷監督の撮影現場、俳優キャリアの変遷から恋愛の話まで、たっぷりと語ってもらった。(取材・文:斎藤 香)
舞台『ヴァンプショウ』の再演を見た三谷監督に選ばれた理由
―――三谷幸喜監督作は初出演ですが、どういう経緯で出演依頼が来たのでしょうか?
「三谷幸喜さんが脚本を書かれた舞台『ヴァンプショウ』の2022年の再演に僕が出演したとき、三谷監督が見に来てくださったことがきっかけです。『当時のことを思い出して感動しました』とおっしゃってくださって、そのあとすぐに本作の出演依頼をいただきました。
出演した舞台を見に来た演出家が、俳優の演技を見て出演依頼をする…なんて話を聞いたことはあったけど『本当にあるんだ!』と驚きました。また、三谷さんが舞台を鑑賞されてからすぐだったので、そのスピード感にも驚いて。最初は『これは本当なのか?』と、現実味がありませんでした」
―――喜びよりも驚きの方が大きかったんですね。
「もちろんすごくうれしかったです。学生の頃から三谷監督の作品は見ていたので。脚本が手元に届いたときはスイッチが入って、緊張感が出てきました」
―――戸塚さんが演じた乙骨直虎は、どのように解釈して演じましたか?
「人気詩人の寒川のわがままに振り回される役で、三谷さんの作品によく登場するキャラクターだと思いました。だから、『古畑任三郎』(フジテレビ系、1994)で西村雅彦さんが演じた古畑の助手・今泉を想定してアプローチをしようとしたんですが、三谷監督にあまり強い個性をつけず、ナチュラルに演じてほしいと言われたんです。
コメディーに振り切った方がやりやすいので逆に難しいと思ったのですが、寒川はじめ、他のキャラクターが濃くておかしいので、それで良かったんだなと。先輩方のコミカルな芝居が素晴らしすぎて、撮影現場では笑いを堪えるのに必死でした(笑)」