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役作りの挑戦と三谷幸喜監督の指示

戸塚 純貴
写真:Wakaco

―――三谷監督の撮影現場はどんな感じだったのでしょうか?

「印象的なのはリハーサルの期間が結構長くあったことです。撮影に入る前に共演者の皆さんとしっかり芝居を交わして、共通の意識を持てたことは良かった。演劇的な手法は三谷監督の得意とするものだと思います。

でもいざ撮影が始まったら、三谷監督、リハーサルとは違うことを提案してくるんですよ。今までやってきたことはなんだったんだろうみたいな(笑)」

―――リハで土台は作られているので、撮影でアレンジしても大丈夫なのかもしれないですね。

「急にセリフを変えるのは、追い込まれている人間のギリギリの緊張感から生まれるものを求めているのかもしれません」

―――突然変わったセリフで印象に残っているシーンはありますか?

「すごく大事なシーンで三谷監督から『「犬神家の一族」(1976)の佐清でセリフ言って』と言われて。ガラガラの声で『俺は〜』とやったら、そのままOKになりました(笑)。

三谷監督は、撮影現場でもスタッフと俳優相手にエンターテインメントをやっている感じがするんです。すごく笑わせてくるから、みんなそれに翻弄されますが、結果的により面白いものになっていて僕自身とても刺激的な撮影でした」

―――共演者は大活躍されている先輩俳優ばかりでしたが、撮影現場ではどのような雰囲気でしたか?

「何度か共演させていただいている方もいましたし、みなさんフレンドリーで楽しかったです。特に長澤まさみさんは座長だったので、現場をすごく盛り上げてくださいました。

僕は数年前に共演させていただいているのですが、そのとき、僕が『POLY』って書いてある帽子をかぶっていたら『ポリー』ってあだ名をつけられて(笑)。今回もずっと『ポリー』って呼ばれていました。いつも全員を輪の中に入れてくれて、寂しい思いをさせないように気を配ってくれていました。本当に優しくて素敵な先輩です」

―――先輩たちから学ぶことも多そうですね。

「目の前で振り切った芝居を見せてくださる大先輩たちを見て、自分はまだまだだなと思ったり、でも負けないように頑張ろうと思ったり。素晴らしい先輩たちの大きな背中を見ながら芝居ができたのは良かったです」

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