「コメディの妖精」瀬戸康史が果たす役割
この映画をコメディとして成立させているキーマンが、西島演じる草野刑事の部下、小磯を演じる瀬戸康史である。
彼の童顔と、明るさを活かした「無邪気な世渡り上手」ぶりは、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK、2022)の北条時房役が記憶に新しい。俯瞰で物事を観て、しなやかに、したたかに動くポジションを絶妙に演じていた。
この映画で瀬戸康史演じる小磯も、他のキャストとの距離感が時房と似ている。この事件を「他人事」として楽しみ、ツッコみつつ、任務を果たす彼はコメディの粉を振りまくティンカーベルの如し、である。
もう一人が薊役の宮澤エマ。神出鬼没な彼女には何度も笑ったが、だんだん、出番のパターンがわかってくると「ちょっと怖い…」となってくる。
宮澤エマの、どこかハリウッドのファンタジー映画に出てくるような、未知のキャラ感は、いろんなアナザーストーリーを想像させる。