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映画『ラストマイル』石原さとみや綾野剛らの出番は少なくて正解だった? シェアード・ユニバースの魅力とリスクとは?

8月23日の公開以来、大ヒットを記録している映画『ラストマイル』。本作の人気を支えるのが、脚本を務めた野木亜紀子の人気ドラマと世界観をリンクさせた「シェアード・ユニバース」だ。今回は、そんな「シェアード・ユニバース」の知られざる魅力を紹介。新たな視点から『ラストマイル』の魅力を語る。(文・中川真知子)

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【中川真知子プロフィール】

 映画xテクノロジーライター。アメリカにて映画学を学んだのち、ハリウッドのキッズ向けパペットアニメーション制作スタジオにてインターンシップを経験。帰国後は字幕制作会社で字幕編集や、アニメーションスタジオで3D制作進行に従事し、オーストラリアのVFXスタジオ「Animal Logic」にてプロダクションアシスタントとして働く。2007年よりライターとして活動開始。「日経クロステック」にて連載「映画×TECH〜映画とテックの交差点〜」、「Japan In-depth」にて連載「中川真知子のシネマ進行」を持つ。「ギズモードジャパン」「リアルサウンド」などに映画関連記事を寄稿。

ドラマで社会問題を扱うことの難しさ

満島ひかり
主人公舟渡エレナ役の満島ひかり【Getty Images】

 社会問題の周知にストーリーテリングを使う作り手は多い。だが、社会問題の取り扱いは非常に難しく、真っ向から問題提起すれば社会から反発を食らう場合もある。

 世界同時不況で社会的な不安が増大している昨今は特に社会問題を扱ったハードなストーリーは敬遠される傾向にあり、本当に伝えるべきことや知ってほしいことが届けられるべき観客に届かないという問題も発生する。

 その点、現在ロングラン上映中の『ラストマイル』は、そういった点をクリアしながら社会問題を描いた作品として非常に優秀な作品と言えるだろう。

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