『十一人の賊軍』で改めて学んだ幕末の日本
―――なつのキャラクターや背景はどのように考えて演じたのでしょうか?
「なつのバックグラウンドは映画では詳しく描かれないので、脚本を読んでシーンや状況から想像を膨らませて、白石監督に相談しながら役を作り上げていきました。
なつは、人のために行動するように躾けられていた女性で、自由がない人生だったかもしれません。でも人を信じる気持ちはあったと思うんです。それなのに裏切られてしまい、追い詰められて火をつける行為に至ったのではないかと。
政(山田孝之)を気にかけているのは、彼が妻を大切に思う気持ちを知り、自分もこんな風に愛される存在になりたかった…という憧れもあったと思います」
―――本作の、舞台となった幕末について、出演されてから新たに知ったことや感じたことはありますか?
「明治時代への転換期であることは知っていましたが、詳しくなかったのでこの映画に出演して改めて知ったことは多かったです。新政府か旧幕府かどちらに付くかと迫られて起こったのが『鳥羽・伏見の戦い』だと思うんですが、意見が一致しないから内戦も多かったと思います。
また今の政治スタイルに近づく時代だったのではないかとも考えました。この映画で描かれる新発田の話は、この時代の歴史上、メインで語られる話ではないけれど、こういう人たちがいたんだということを知るのは大切ですし、彼らが時代に振り回されなからも懸命に生き抜いてくれたからこそ、今の私たちが生きているんだとすごく実感しました」