自由な演技を引き出す演出術
―――全員である作戦を決行するシーンでは、キャストの皆さんの表情がとても生き生きとしていて、印象的でしたが、このシーンについてお聞きできますか?
「あのシーンはもちろん台本にもありましたが、現場ではより全員が活躍できるように少し膨らませました。自分なりにかなりシミュレーションをして臨んだのですが、現場ではとにかく時間が足りなくて、本当に鼻息荒く走り回って撮影した感じです(笑)。
それでも、キャストのみんながその場のライブ感を楽しんで、『これは絶対に失敗できない』という思いでノリノリに演じてくれていたと思います」
―――撮影現場で印象に残っているエピソードを教えてください。
「東京の街中での撮影は特に印象的でしたね。最初は『顔バレしないように』、『撮影許可をきちんと取って』と気を使っていたんですけど、途中から『もういいや!』って(笑)。池袋の人混みの中で普通に撮っていました。『映画を撮っているだけだから、悪いことはしていない』って自分に言い聞かせて(笑)。その開き直りが結果的に臨場感を生んだと思います」
―――皆さんの表情には、演技以上に素の部分も垣間見えている気がしました。
「できるだけ空間を広く使い、自由に動いてもらうように心がけました。そうすることで、割と自由にのびのびと演じてもらえていたと思います」