待ち時間も笑いが絶えない自然体で生まれる掛け合い
―――海辺ではしゃぐシーンなど、同期の皆さんとのリアルな絆が強く感じられました。彼女たちの等身大の表情を映し出すために、特に心がけたことはありますか?
「あのシーンに関しては『とにかく楽しんで。たまにカメラの方を向いてくれさえすればいいから』と、あとは自由にやってもらっていました。
実際、みなさん楽しんでやっていたと思います。ただ、最初のテストの段階ではしゃぎすぎると疲れてしまうので、少し疲れが見える子もいましたが(笑)。それでも非常に良い撮影ができましたね」
―――とても楽しそうな現場ですね。ひとりひとり演出するのも大変だったと思いますが、印象に残っている方はいますか?
「自分の素に近い役柄の子はスムーズに演じられていましたが、例えば清水さんが演じた角村のように、普段の性格とは異なるキャラクターの場合は少し苦労していました。
清水さんには、サバサバした男前な感じで演じてもらったのですが、ご本人にはあまりない一面だったと思います。難しい役所でしたが、本当に熱心に頑張ってくれましたね」
―――熊切監督のお話から、とても楽しそうな現場の雰囲気がわかりますが、11人もキャストがいると大変だったこともあったのではないでしょうか?
「大変でしたけど、彼女たちの仲がとても良かったので助かりました。待ち時間もみなさんずっと一緒にいらっしゃって、自然と等身大の彼女たちを撮れたのではないかと思います。
普通の俳優同士だと、別の事務所同士ここまでの一体感はなかなか生まれませんから。何度か撮り直したシーンもありましたが、ずっとおしゃべりしてて、そのままのノリで自然に役同士の掛け合いに発展することもありました。
僕は現場中はヘッドホンでセリフを聞いていますが、本番に入る前もずっとおしゃべりしているので、本番中以外はうるさくて外していました(笑)」
―――本作の修学旅行という設定は、彼女たちにとって非日常を象徴していますが、同時にアイドルという本業を離れ、演技に挑んだことももう1つの非日常だったのではないでしょうか。今回お話を聞いていて、彼女たちにとって熊切監督は、まるで先生のような存在だったのでは? と感じるのですが、その点についてはいかがでしょうか?
「とにかく時間に追われている現場で、終始僕も含めてスタッフ全員が慌ただしく駆け回っていたのですが、その中でも僕としてはとにかく彼女たちをしっかり見てあげようという思いがありました。そういう意味では先生のような存在だったかもしれません」
(取材・文:タナカシカ)
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