自然な演技の日向坂46四期生たち
本作の主人公、東京の全部を味わい尽くしたいと熱く燃える班長・池園優里香を演じたのは、日向坂46の11thシングル「君はハニーデュー」でセンターに抜擢された正源司陽子だ。
個人的に、正源司は凛とした美しさのある顔立ちと、パーツバランスが整っているからこそ癖のない顔立ちが魅力だと思っているが、前者が班長という役柄の説得力を持たせ、後者が女子高生らしさのリアリティさを出していたのだろう。
本作は映画の筋書きが群像劇ということもあり、主演だからといって出番が格段に多いわけではない。それでも群像劇の中心は彼女であると思わせられるのは、さすがの存在感だった。
そしてもう1人特筆したいメンバーがいる。本作の裏主人公・桐井智紗役に抜擢された渡辺莉奈だ。
渡辺が演じるのは、東京の修学旅行中にアイドルのオーディションを受けようとするぶっとんだ行動をしつつも、どちらかというと内気で、あまり口数が多いとはいえない女の子だ。
渡辺は、日向坂46どころか坂道グループ全体でも最年少の15歳ながら、そうは見えないほど落ち着いており、どこか儚げな大人っぽさを感じさせる期待のルーキーだ。口数が少なく内気な人物という制約の中で、裏の主人公としての説得力を出す必要があったのだが、ここに渡辺の前述の儚げな大人っぽさがマッチしていたのが良かった。あまり自己主張はないけれど、神秘的で何か光るものを持っていそうな“アイドルの原石”という表現が自然に滲み出ていたように感じる。