印象に残っている撮影中のエピソード
―――その他、キャラクターに対し、自分なりに研究したポイントはございますか?
八村「大きく言うと、ユウの『動き・アクション』そのものでしょうか。これは芝居において、意識し過ぎると、悪い方向に陥ることもあるのですが、無意識のうちに動いている動作に魂を込めるとでも言うか」
栁「僕は、人を殺す役を演じる上で、例えば人をナイフで刺すやり方などをネットで調べると、その関連の動画が出てきたりとかして、結構 、落ち込んでしまうんです。当たり前ですが、今まで経験したこともないですし、もちろんしたくもないので。僕の日常では起こり得ないことを演じたわけです。そこを想像力で補うのが、役者であり演技だなと、改めて痛感しました」
岡田「私は俳優としてまだまだ経験が浅いのですが、オン・オフをどれだけなくして、役に入り込めるか、チャレンジしました。と言うのも以前、他の作品で両親が殺された役を演じた時に、私生活まで役柄のメンタルに引っ張られてしまったんですね。だから、本作では、普段の自分と役を重ねつつ、同時に距離も取る。とにかくバランスを意識しました」
―――興味深いです。印象に残っている撮影中のエピソードはありますか。
八村「岡田さんが、トマトジュースを持ってきてくれたのは、素晴しかったです!」
岡田「ああ、そんなこと覚えていたんですか(笑) ただ、好きなブランドのトマトジュースを差し上げただけなんですが。だって、八村さん、なんかやつれていたので(笑)」
―――それは、役作りの一貫で、やつれたのですか?
八村「いや、自然にやつれただけです(笑) でも、今思えば、ユウの心情を表す上で、良かったと思います」
栁「ああ、ホテルのシーンな」
岡田「そうなんです。数十分のホテルのシーンのために、やつれたの、凄いなと思いまして」
八村「いや、だから、ユウを演じていたら、勝手にやつれただけだよ(笑)」
栁「そういえば、倫太郎は本当に、かわいいやつでして。自分1人のシーンの撮影だと寂しいらしく、僕たちが現場に行くと、『俊太郎さーん!』って、手を振ってくるんですよ。その後、俺に殺されそうになるシーン演じるのに(笑)」
―――その辺の感覚って、俳優さんならではかもしれませんね。
八村「それこそ、撮影の合間には、血ノリが付いたまま、食堂で一緒にご飯食べていますからね。血ノリが落ちないように注意しながら(笑)」
―――まるで3兄妹のような仲の良さが伺えます。
八村「ええ、仲いいですね、本当に」
―――さて、本作はシェアハウスが舞台なわけですが、皆さまは、シェアハウスに住んだとしたら、隣人と仲良くなれると思いますか?
八村「う~ん、コミュニケーションを取りに行くとは思います。なんか、学生のころのクラス替えみたいな、感覚と一緒かもしれないと想像します」
―――八村さんは基本的に、社交的ですね。
八村「いや~、やっぱ、誰かと喋らないと寂しいじゃないですか~」
栁「それを、社交的と言うんだよ(笑)」
―――アハハ! 他人を信用・信頼する上で、基準はありますか?
八村「基準と言うか、自分の大切に思っているものを同じように大切にしてくれる人は、素敵だなと思いますし、好きですね」
栁「僕は、それこそ、キリシマのようなヤバイやつだったら、当たり障りないように接します。いや、彼のようなやつじゃなくても、トラブルに巻き込まれたくないので、シェアハウスなどでは関わりはしないでしょうね(笑)」
―――キリシマとは、真逆ですね(笑)。岡田さんはいかがでしょうか?
岡田「まず、個室だったとしても、共有スペースがあるシェアハウスに住むという選択肢がないのが、本音です(笑)。今も1人暮らしなのですが、たとえ、恋人や仲のいい友達だとしても一緒に住みたくはないんですよ。ただ、人のことを信用するポイントとしては、私は自分のことを他人に委ねたくはないんです。自分の軸で考えて、自分が好きだと思ったら信用できる人だなと思っています」
八村「さすが! それ、僕も言いたかったことだ」
栁「ほんとか(笑)?」
(取材・文/ZAKKY)
【八村倫太郎】
ヘアメイク:大西花保 スタイリスト:三島和也(tatanoa)
【栁俊太郎】
ヘアメイク:吉田太郎(W) スタイリスト:伊藤省吾(sitor)
【岡田結実】
ヘアメイク:前田亜耶 スタイリスト:武久真理江
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【了】