「いい顔をしないようにしている」
お芝居で大切にしていること
―――完成した本作をご覧になっていかがでしたか?
「幼いって思いました(笑)。自分の演技を客観的に見ることはできませんが、撮影当時は迷いもあったし、色々と悩んでいる時期でもありそれが顔に出ているなと」
―――今おっしゃった、この映画における伊藤さんの幼げな印象は、紅花という役に欠かせないファクターだと思いましたし、この映画にとてもポジティブなものをもたらしていると思いました。
「ホントですか!? 良かった…。当時はこれでいいのかと色々考えすぎて、でもやるしかない、という気持ちで演じていたので。幼い印象が記憶を欠いた紅花というキャラクターに活きていたなら本当に良かったです」
―――普段演じる時に意識していることや、大事にされていることはありますか?
「いい顔をしないようにしています。自分が言える立場ではないんですけど、なるべく“自然体でその場にいる”という感覚を持ちたいなと。
アイドル時代は、可愛く、あるいは美しく見せる、などの見せ方を考えなければいけなかったのですが、自分は不器用だし自信もなかったから出来なくて。諦めの境地に至りました(笑)。でも逆にお芝居をする時は、生身の人間としてそこにいてもいい気がして、それが楽しくて嬉しいんです」
―――伊藤さんにとってお芝居の魅力は、自然体でいられるところにありますか?
「そうですね。それに加えて、やっぱり映像の現場が好きで、みんなが同じ方向に向かっている時間が好きです。初めてお芝居をした15歳の頃からその気持ちは変わらないです。
どういうプロセスで作られているのかを知ることがお芝居に与える影響は大きいです。なので、できるだけ関わりたいですし、スタッフさんとコミュニケーションを取ると、より一層作品に愛情を持てるようになります。今回の映画でも、現場のスタッフさんとお話ししている時間が憩いのひとときで、私にとっての“オアシス”でした」