「まっすぐな気持ちで演じることができた」映画『夜のまにまに』W主演を務めた、加部亜門、山本奈衣瑠、対談インタビュー
『凪の憂鬱』(2023)の磯部鉄平監督最新作『夜のまにまに』が11月22日(金)より公開される。今回は、W主演を務めた加部亜門さん、山本奈衣瑠さんへのインタビューをお届け。初参加となった磯部組の雰囲気、初共演の印象、役と作品に込めた思いなど、たっぷりとお話を伺った。(取材・文:山田剛志)
自然体で本番に臨める
磯部鉄平組の独特の雰囲気
―――映画、拝見いたしました。116分間、お二人が織りなす空気感がとても心地良かったです。現場の雰囲気はいかがでしたか?
山本奈衣瑠(以下、山本)「今回の作品は夜のシーンが多く、大所帯だと差し支えがあるということもあって、少数精鋭のチームでした。現場はすごく楽しかったです。1日に1回は必ず腰がくだけるほど爆笑することがあって(笑)。磯部さんの組って独特の世界観があるんですよ。今回は、それに取り込まれた感じがある。あれ、なんかずるいよね(笑)」
加部亜門(以下、加部)「芝居をすることに対して気負いを感じさせないと言いますか、何をやっても受け止めてくれる空気感を作ってくださって、すごくやりやすかったです。『よし今日も頑張るぞ!』っていうよりかは、『はい、しゃー、やりますか』ぐらいの自然体で本番に臨める。そんな雰囲気の現場でした」
―――加部さん演じる新平と山本さん演じる佳純は、映画館で出会って意気投合し、その後別れ、2年後に偶然再会します。撮影は順撮りだったのでしょうか?
加部「ほぼ順撮り。2年前のシーンはまとめて撮りました。奈衣瑠さんとの共演シーンで最初に撮ったのは自転車のシーンだったかな?」
山本「そうそう。橋の上で再会した後、トンネルをくぐって私が『今日浮気された人です』って打ち明けて、自転車を奪う場面だった」
―――カットが変わると夜が明けており、2人はベンチに座り、佳純は新平にマニキュアを塗ってあげています。このシーンで佳純は自分から新平にキスをしますが、その直前にスマートフォンをチラッと見る。これは山本さんの即興でしょうか?
山本「ここはちゃんと脚本に書いてありました。その前のシーンで佳純は電話をしているので、相手から折り返しが来ていないか気にしている。ここ凄く良いですよね。佳純が単なるネジの外れた人じゃない、彼女の行動にはちゃんと理由があるということがさりげなく伝わります」