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加部亜門「役に体を慣らす時間を作れたのが大きかった」

加部亜門 写真:武馬怜子
加部亜門 写真:武馬怜子

―――加部さん演じる新平もユニークなキャラクターだと思いました。彼の周囲には、山本さん演じる佳純以外にも、永瀬未留演じる元カノや辻凪子さん演じる姉など、複数の女性がいますが、新平は基本受け身ですよね。

加部「新平は、自我が確立していないと言いますか、ちゃんと地に足が付いていなくて、流されやすいところがある。自分からアクション起こさないキャラクターだから、自分の中で役を固めて現場に臨むのは違うだろうと。今回は“何もしない方がいい”と思って、相手のお芝居から受けたものを返すことを心がけて、リアクションの鮮度を重視しました。」

―――地に足が付いていない雰囲気を出す上で、どのようなことを意識されましたか?

加部「セリフを相手から聞いて、即答しないこと」

山本「すごいね。なるほど」

加部「答えるにしても断言しないで、『多分こうだと思う』ぐらいのニュアンスで伝えるように意識しました」

山本「新平と普段の加部くんって、どちらかというとタイプ的には正反対という感じがします。自分と新平は違うけど、わかってあげられるところも多い…というアプローチで役づくりをしたのかな?」

加部「そうですね。自分とは違うけど、まったく理解できないわけではないし。新平の考え方が形成された経緯もわかるから。役に入り込むにあたって、物凄く苦労したということはなかったです」

山本「現場でもオンとオフを切り替えてるようには見えなかったんだよね」

加部「実は今回、撮影が始まる2日ぐらい前に大阪入りして、現地で何もしない日を何日か作ったんですよ。で、大阪行きの新幹線も、のぞみの指定席を、こだまの自由席に変えて。ゆったりと役に体を慣らす時間を作れたのが大きかったです」

―――余白の時間が大事だったと。

加部「多分それがないと厳しかった」

山本「そうなんだ。そういう新幹線の使い方するんだね。興味深いです」

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