旧作『あぶない刑事』を意識した演出に注目
まず、オープニングシーンからして、とてもクールで素晴らしい!
いきなりお馴染みのオープニングテーマ(※実は、舘ひろし作曲)が流れ出し、夜のベイブリッジを背景に、2人が乗るBMWがスクリーンを颯爽と横切る。
セリフはないのだが、何だか笑い話をしながら、じゃれ合う2人。まさに、「あぶデカが帰って来た! でも、何回帰って来とんねん(笑)!」と歓喜とツッコミを同時に表明したくなる、ツカミの演出が見事なのだ。
旧作と同じフォントでキャストとスタッフがクレジットされていくのも、粋である。
ここで、旧ドラマシリーズのオープニング映像をそのまま使わなかったのも、ファインプレーと言えよう。あくまで令和の『あぶデカ』として成立させようという気概が感じられる。
また、ユージが活躍する際に流れる『Running Shot 2024 MIX』を含め、劇中で流れるBGM、かつての懐かしい楽曲たちが、装い新たにミックスし直されている点にも注目。中には、昨今流行りのシティーポップ調の曲もあり、現代の若者たちにも新鮮に聴こえるのではないだろうか。
エンディングテーマは、舘ひろしによる『翼を拡げて 2024 re-recorded version』。
あぶデカのエンディングと言えば、『冷たい太陽』がお馴染みだが、ここであえて、ドラマシリーズ後期のエンディングテーマを採用したのもニクい。
本作の監督は、父である原隆仁が『あぶない刑事』のドラマ版の監督を担当した原廣利。親子二代に渡り、あぶデカを手がけるという離れ業を成し遂げている。
原廣利監督のみならず、他のスタッフ陣も若手へとバトンタッチ。その報を聞き、現代版の『あぶない刑事』を心配した古参ファンもご安心あれ。
若きクリエイターたちは、あぶデカイズムを受け継ぎつつ、本作を自分たちの感性で見事にアップデートしているのだ。