ホーム » 投稿 » 日本映画 » 劇場公開作品 » 中条あやみが新境地を開拓…? 感情の乗った脚本の素晴らしさとは? 映画『あまろっく』徹底考察&評価。忖度なしガチレビュー » Page 4

中条あやみの新境地。人情味あふれる尼崎市の魅力

©2024映画「あまろっく」製作委員会
©2024映画あまろっく製作委員会

江口のりことともにダブル主演を務めた中条あやみは、イギリス人の父を持つハーフのため、“関西色”を全く感じさせない俳優で、大阪の公立高に進学(その後、芸能活動のため東京の高校に転校)したという経歴は、意外なものだったし、本作での役柄も、これまでのものとはテイストが異なるもので、新境地を開拓する演技だった。

さらに、笑福亭鶴瓶と駿河太郎の共演も本作のポイントの1つだ。2人が絡むシーンはなかったものの、2011年の「ヤマキのめんつゆ」のCM、テレビドラマ『半沢直樹』(2013・TBS系)以来の共演で、映画での共演は初だ。

『ディア・ドクター』(2009)、『閉鎖病棟-それぞれの朝-』(2019)に主演し、俳優のみならず、MC、タレント業と大忙しの鶴瓶と、音楽活動を経て、数多くの映画やテレビドラマへの出演で、俳優として順調にキャリアを積み重ねている長男の駿河、いつか2人が俳優として演技合戦を繰り広げるシーンが見たいと感じる人は多いだろう。

この作品を見るまで、正直のところ、尼崎という街に良いイメージを持っていなかった。それはかつて、出身者であるダウンタウンが、地元のガラの悪さを笑いのネタにしていたことも大きい。

しかし、本作で描かれた尼崎は、人情味あふれるアーケード街があり、海があり、洒落た公園があり、真っ白なお城もある美しい街だ。それらの場所でロケが行われ、かつ、そのロケ地をエンドロールで案内している演出がまた憎い。

そしてその中心には、尼崎市民を守り続け、加えて、その存在が映画人の思いに至らせるまでの「尼ロック」がある。キャスト陣の名演、感情の乗った脚本、ロケシーンの美しさが相まって、スッキリと心地良い気分にさせてくれる作品といえる。

(文・寺島武志)

【作品概要】

監督・原案・企画:中村和宏
脚本:西井史子
出演:笑福亭鶴瓶、江口のりこ、中条あやみ、松尾諭、中村ゆり、中林大樹、駿河太郎、紅壱子 久保田磨希、浜村淳、後野夏陽、朝田淳弥、高畑淳子、佐川満男
音楽:林ゆうき、山城ショウゴ
製作:池邉真佐哉、小西啓介、藪内広之、小林栄太朗、奥田良太、宮沢一道
エグゼクティブプロデューサー:首藤明日香、小西啓介、渥美昌泰
プロデューサー:辻井恵子、岩﨑正志
特別協賛:阪神電気鉄道株式会社
特別協力:兵庫県、尼崎市
協賛:TC神鋼不動産、中島商店、レンゴー
製作:「あまろっく」製作委員会
製作幹事:MBS、ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:MBS企画
配給:ハピネットファントム・スタジオ
主題歌:「アルカセ」ユニコーン(Sony Music Labels Inc./ Ki/oon Music)
2024年/日本/119分/カラー/シネスコ/5.1ch
©2024映画「あまろっく」製作委員会
公式サイト
公式X
公式Instagram

1 2 3 4 5