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キャストたちの役への向き合い方

©山口つばさ/講談社 ©2024映画「ブルーピリオド」製作委員会
©山口つばさ講談社 ©2024映画ブルーピリオド製作委員会

 再現度の高さで言うと、八虎が美術部に入るきっかけを作る同級生“ユカちゃん”こと、鮎川龍二を演じた高橋文哉にも触れざるを得ない。高橋は本作への出演にあたって8キロの減量と脱毛に挑み、セーラー服を見事に着こなしている。

 その姿は美しく、自信に満ち溢れているが、自分の“好き”と周囲の偏見や差別との間で揺れ動くユカちゃんの葛藤も本作では色濃く映し出されている。挑戦的なシーンもあり、おそらく高橋自身も役作りの上で葛藤したのではないだろうか。

 天性の才能と高い技術力を誇るがゆえに周りからの期待も大きく、そのプレッシャーに身を削られていく八虎のライバル・高橋世田介の苦しみを体現した板垣李光人、八虎のミューズ的な存在となる森まるの穏やかな振る舞いの中に見える真の強さを表現した桜田ひよりは、厳しくも愛のある眼差しが印象的だった。

 美術予備校の講師・ 葉真由を演じた江口のりこなど、原作ファンも納得せざるを得ない実力派キャストによる演技を堪能してほしい。

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