ピアノの旋律に心震える2つのシーン
劇伴を務めるのは、主題歌と同じくハンバート ハンバートの佐藤良成氏。劇中では「ぼくのお日さま」のイントロを彷彿とさせるピアノの旋律が2ヶ所で流れていた。
1つ目は、タクヤと荒川コーチの2人きりでのスケート特訓シーン。営業時間の終了したスケートリンクでスケーティングの基本を一から教わっていく場面で流れる。タクヤの滑りが様になってくる頃、そのスケーティングのように、或いは日が落ちて夜がやってくるように滑らかにBGMは「ぼくのお日さま」からドビュッシーの「月の光」へと移り変わっていく。
2つ目は、ペアダンスの課題曲を紹介されて、タクヤとさくらが本格的に練習を始めるシーン。荒川の指導のもと、タクヤとさくらの息が少しずつ合っていき、2人の表情にも笑顔が見え始める。
ことばがうまく言えないタクヤが、他者と心を重ね合わせたシーンで流れる「ぼくのお日さま」のイントロのメロディ。タクヤとさくらと荒川の3人は、スケートリンクでの出会いのシーンでの視線の三角関係のように、それぞれがぞれぞれにとっての「お日さま」の役割を担っていて、互いの眩しさによってそれぞれを照らしているように感じた。