平次vs怪盗キッド…冒頭から高まるボルテージ
近年の劇場版では実在する地名を舞台にすることが多くなっている。
前作の『黒鉄の魚影』では八丈島が舞台であったし、その前の『ハロウィンの花嫁』(2022)では渋谷が舞台だった。
もちろん現実の地名を借りているだけではなく、情景が再現されている。
五稜郭の名物に桜があげられるが、本作は桜をイメージしたきれいで華やかな描写が随所に出てくる。そういった美しい景色も本作の一つの見どころといえる。
キッドは日本刀を狙って予告状を出し、盗みに来るのだがそこで立ちはだかるのが平次。
前述したとおりキッドには並々ならぬ闘志を燃やす平次。本作の冒頭シーンながらボルテージが高まる。
キッドと平次は刀で戦い、一進一退の攻防を繰り広げるが、平次はキッドのシルクハットを切りつけた際にあるものを目の当たりにする。それはキッドの素顔だった。
キッドの素顔が工藤新一とそっくりなのは1月に公開された『名探偵コナンvs.怪盗キッド』(2024)で周知の事実であるが、平次がそれを見るのは初めてであり、動揺を隠せず、結局キッドを取り逃がしてしまう。
キッドの素顔が新一にそっくりというのは過去のコナン映画でもポイントになった要素である。
特に、14作目『天空の難破船(ロストシップ)』(2010)ではキッドの素顔を見た蘭が工藤新一=怪盗キッドと勘違いし、新一が泥棒だと思い悩んでしまったこともある。
劇場版を見てきたファンには既知の事実でも平次にとっては衝撃だっただろう。特に平次の場合は蘭とは事情が違う。工藤新一=江戸川コナンという事実を知っているからだ。