Netflix実写版『シティーハンター』が世界的成功を収めた5つの理由(2)100tハンマーにまつわる秀逸な演出とは?
1980年代を代表する名作漫画「シティーハンター」。待望の日本版実写映画がNetflixで配信中。主人公・冴羽獠を演じるのは鈴木亮平。今回は、原作を愛するライターが、全世界1位の快挙を成し遂げた本作が世界的な成功を収めた理由をわかりやすく解説する。(文・ZAKKY)
絶賛ポイント②100tハンマーの出し方が上手すぎる
物語の焦点となるコスプレ少女・くるみは「エンジェルダスト」を投薬されても、唯一、半分は正気を保っていられた。そのため、組織にとっての危険分子として追われる身となり、冒頭で登場した「妹を助けてほしい」と依頼したナツミも、実は姉ではなく、組織の幹部・蠍(片山萌美)であり、彼女の罠であった。
この展開はベタではあるが、非常に明快でわかりやすい。
そしてコスプレイベントにくるみが参加することになるのだが、このシーンの描写には、思わず唸った。
香も急遽、くるみの警護のためということで、会場にいて違和感のないゲームのキャラ風なコスプレをさせられる。
そこで、クルミが原作ではお馴染みの、獠が依頼人の女性に下心を出している時のツッコミアイテム、100tハンマーを「これも、持って!似合う~」と、小道具として香に渡すのだ。
ここの演出が上手い!
原作ではあくまで「どこから持ってきたんだ!」と、読者がツッコむのが定番の100tハンマーを、コスプレイヤーの小道具として登場させるアイディアには、恐れ入った。香はその後、100tハンマーを持ち帰り、ラストシーンにおけるお約束の獠とのふざけた絡みでも、ハンマーを振りかざす。
100tハンマーには、こんな由縁があったのか!と、ファンの間で新たな説が定着するのではないだろうか。
そして、くるみのエロショットを撮ろうとするオタクファンから守るフリをして、実はくるみを狙撃しようとしているスナイパーから彼女を守っていた獠。
そこに乱入したボンテージ姿の蠍と獠の一騎打ちになるのだが、観客たちは、それもイベントの演出のひとつだと思い、盛り上がる。
格闘の末、蠍を倒した獠は、おどけながら、蠍を抱え、ステージを後にする。この一連の流れもコスプレイベントという現代的な場を利用したシーンになっていて秀逸。
また、新宿の街にて「バニラ~高収入♪」と流す宣伝カーが走るなど、細かい部分でも現代の新宿を表現しているところも、ニクい。
(文・ZAKKY)
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