ホーム » 投稿 » 日本映画 » 劇場公開作品 » 役者・大泉洋が新境地を開拓…定番の”難病モノ”にはない魅力とは? 映画『ディア・ファミリー』考察&評価レビュー » Page 2

大泉洋が初めて演じた“強い父性の持ち主”

「ディア・ファミリー」
©2024「ディア・ファミリー」製作委員会

 立志伝中の人、筒井宣政をモデルにした人物を演じたのが大泉洋だ。

 NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022)やTBS日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』(2019)、『ラストマン-全盲の捜査官-』(2023)、など多くの話題作に出演する一方、紅白歌合戦では司会を務めるのみならず、アーティストとして出演を果たすなど、八面六臂の活躍を見せる、今や名実ともに国内トップクラスのタレントの一人である。

 大泉のキャリアを振り返る上で、大学時代の演劇研究会の面々と立ち上げた演劇ユニットTEAM NACSの結成と、TEAM NACSによる伝説的バラエティ番組『水曜どうでしょう』(北海道テレビ)への出演は外せないだろう。

 北海道を代表する人気タレントとなった大泉洋は、東京の芸能事務所アミューズと業務提携したことで、タレントとしてだけでなく俳優業にも力を入れ始める。その後の活躍は、上記のとおりだ。

 そんな大泉、映画『ディア・ファミリー』では、新境地とも言える一面を披露している。

 それが“強い父親”としての顔だ。

 実生活で一女の父親であり、バラエティ番組などで、娘への愛情あふれるエピソードを披露してきた大泉。父親役に扮した経験はあったが、本作では、今までよりも“強い父性の持ち主”を演じている。

 彼が『ディア・ファミリー』で演じる坪井宣政は心臓疾患を抱える次女を含む3人の娘の父親で、一家の大黒柱でもある。

 また、小さな町工場とは言え、経営者でもあり、また人工心臓研究のかじ取り役でもある。

 長いキャリアを誇る大泉洋ではあるが。ここまで主体的に周囲の人物を奮い立たせて物事を動かしていくキャラクターを演じることはあまりなかった。

1 2 3 4 5
error: Content is protected !!