1.ちーちゃんと萌花の共通点
本作に登場する2人の少女ちーちゃんと萌花は、まるで正反対な性格や家庭環境のように描かれているが、実は共通点がある。2人の共通点とは、「2人とも家族のことを愛しておらず、そして幸せではない」という点だ。
原作漫画『ちーちゃん』を読むとよくわかるのだが、ちーちゃんの両親は典型的なネグレクトであり、ちーちゃんは悲惨な家庭環境の中で愛情を知らずに育ってきた。
また萌花は、一見すると幸せそうな家族の中で愛情を持って育てられているかのように見えるが、なんでも思いどおりにしようとする父親のせいで母親は亡くなり、また後妻である萩乃も夫の言いなりとなっている。
そんな父親や萩乃の言動に対し、萌花は非常にフラストレーションを抱えて暮らしていることがわかる。
同時に萌花は、父親の言いなりになる萩乃のことを軽蔑しており、「こんな家族ならいなくなってしまえばいい」と心の奥底で考えているのだ。そんな萌花の負の要素を具現化した存在こそが、ちーちゃんである。
そのため萌花=ちーちゃん、とも考えることができる。
そしてちーちゃんは、存在自体が「毒」であると同時に、相手の「毒」を見極め、そして「毒」を吸い出して表面化することができる。また同じように「毒」を見極められる人物を特定することができ、だからこそちーちゃんと萌花は仲良くなることができたのだろう。