後半で明かされる「ふれる」の本当の能力
本作に話を戻すと、3人は奈南と樹里をめぐる恋愛感情によって友情が崩れ始めていく。さらに、「ふれる」の本当の能力を知り、友情はボロボロになってしまった。
実は思っていることがなんでも伝わっているのではなく、関係が悪化する火種になりうることは遮断されていたのだ。
結局「都合のいいことしか共有できていなかった」という事実は3人を失望させ、失意の中で秋は家を飛び出した。絶対の友情がみるみる崩れていくその流れは「どうしてこんなことに…」と観客が思ってしまうほど重い展開だ。
だが、突然「ふれる」の姿が見えたかと思うと3人は異空間へ飛ばされた。友情が崩壊した状況で3人をまた引き戻そうとするかのようだ。
異空間で3人が合流し、ようやく本音で語り合った。秋は友達になるために「ふれる」に頼ったことを反省した。
劇中にも何度か出てくるように、本作には「言いにくいことでも自分の口でちゃんと言わないといけない」というメッセージが込められているのだろう。
そして、3人は本音を交わす中で「ふれる」がいなくても親友になれていたことを確信した。
3人が本当の友情を確立するシーンは観客を熱い気持ちにさせてくれる。だが、本作はこれで終わりではなかった。