復讐を決意した草彅剛の目
薄暗い長屋で過ごしていた暮らしが、少しずつ彩られる。春から夏、そして秋へと季節は巡り、やがて格之進の人生を一変させる大きな波がやってくる。ともに彦根藩に仕えていた梶木左門(奥野瑛太)が訪ねてきて、格之進にかけられていた嫌疑、そして妻の死の真相を伝える。
このときの格之進の目の鋭さに、鳥肌が立った。人を憎む迫力。刃は外側に向けられているはずなのに、格之進自身のことも同時に傷つけているようだった。
復讐を決意した矢先、格之進にとってさらなる不運が起きる。実直に生きてきたはずの男を襲う理不尽な出来事。
お絹は父に本懐を遂げてもらうべく、自らの意志で吉原の女郎屋へ入ることを選ぶのだが、この女郎屋の主人・お庚を演じる小泉今日子も、また良い。年相応の色気は感じさせつつ、厳しい世界を渡り歩いてきた貫禄を感じさせる。
そうかと思えば、かねてから付き合いのあった柳田親子への愛情も垣間見せる。歳を重ねたからこそ身に着けられる奥深さを体現していた。