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何度でも噛みしめたいシリーズ集大成

© 創通・サンライズ
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ところで、先ほど『逆襲のシャア』について触れたが、同作はスピード感のあるテンポのいい編集が特徴の一つだった。一方で『FREEDOM』は、テンポがいいというよりも、後半になるに従ってあらゆるスピードが加速度的に増していくのが特徴だ。

キラとラクスが共に過ごした序盤のゆったりした時間の流れは、世界が混迷を極めていくにつれ、徐々に忙しなくなっていく。そして戦闘が激化する終盤には、とてつもない速さのモビルスーツ戦が繰り広げられることになる。元々こうした目にも止まらぬ速さのアクションが、「SEEDシリーズ」の特徴であった。

しかし、今作では戦いのみならずオマージュも次々とたたみかけられ、さらにはクライマックスでは意表を突く表現まで混ぜられる。元々映画は、全てを満遍なく見ることがおよそ不可能なメディアではあるが、ありとあらゆる情報がものすごいスピードで飛び交う本作終盤の展開は、まるでジェットコースターだ。人によっては、一回見ただけでは何が起きたのかわからない人もいるかもしれない。また、前半と後半で別の映画のように感じる人もいるだろう。

ある種のお祭り感すらあるこの洪水のような情報量は、20年ぶりに世に放たれたシリーズの最新作ならではだ。公開までの長い年月を埋めるかの如く、ファンは何度も何度も本作を噛み締めることができるのだ。

(文・島晃一)

【作品情報】
タイトル:機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
原作:矢立 肇、富野由悠季
監督:福田己津央COMMENT
脚本:両澤千晶、後藤リウ、福田己津央
出演:保志総一朗、田中理恵、石田 彰、森 なな子、鈴村健一、坂本真綾、折笠富美子、三石琴乃、子安武人、関 智一、笹沼 晃、桑島法子、田村ゆかり、下野 紘、中村悠一、上坂すみれ、福圓美里、松岡禎丞、利根健太朗、森崎ウィン、池田秀一
キャラクターデザイン:平井久司
メカニカルデザイン:大河原邦男、山根公利、宮武一貴、阿久津潤一、新谷 学、禅芝、射尾卓弥、大河広行
メカニカルアニメーションディレクター:重田 智
主題歌:西川貴教 with t.komuro「FREEDOM」
エンディングテーマ:See-Saw「去り際のロマンティクス」
製作:バンダイナムコフィルムワークス
配給:バンダイナムコフィルムワークス、松竹
公式サイト

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