中村倫也、川口春奈、満島真之介ら出演のテレビ朝日系ドラマ『ハヤブサ消防団』。本作は『半沢直樹』、『下町ロケット』の池井戸潤による小説が原作。山間の小さな集落が舞台の“新機軸ミステリー”だ。今回は、いよいよ最終章に突入する本作の見どころを徹底解説する。（文・あまのさき）【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

—————————–

【著者プロフィール：あまのさき】

アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。

のどかな集落で起こった連続放火事件

ベストセラー作家・池井戸潤による新機軸のミステリーで、主演を務めるのは中村倫也。さらに、社会現象となった『silent』（フジテレビ系）での好演が記憶に新しい川口春奈をはじめ、満島真之介ら注目のキャストが顔をそろえる……とくれば、期待するなというほうが土台無理な話だ。

そのようにして視聴者から大きな注目を集めて始まったドラマ「ハヤブサ消防団」は、我々の期待を裏切ることなく、回を重ねるごとにますますその魅力を増している。

8月31日放送の7話で物語が大きく動き出し、いよいよ最終章に突入するこのタイミングで、あらすじと見どころを振り返ってみたい。

本作の主人公は、デビュー作でいきなり新人賞を獲得した作家の三馬太郎（中村倫也）。三馬は作家としての自分に人生を賭すべく会社を辞めるが、なかなかヒット作に恵まれず苦しい日々を送っていた。

そんな折、亡き父の故郷である“ハヤブサ地区”から、相続した家に関する封書が届く。様子を見に行くつもりでハヤブサを訪れた三馬だったが、風光明媚な山間地区の美しさと開放感に魅了され移住することを決意した。

知らず知らずのうちに都会の生活にストレスを抱えていたらしい三馬。移住してからというもの、筆が走るようになる。

並行して、三馬は地元住民で構成された消防団への勧誘を受ける。三馬と同い年で小さなころに面識のあるらしい陽気な青年・勘介（満島真之介）や熱血漢の分団長・郁夫（橋本じゅん）の熱烈な誘いに、最初こそ気乗りしない三馬だったが、実際の消火活動を目の当たりにし入団を決意。

ところがこのハヤブサ地区では、放火とみられる不審火が立て続けに起こっていた。

ハヤブサは小さな集落だ。よその人が紛れ込んでいたら誰かが気付く。つまり、住民の中に放火犯がいる可能性が高い……。ぴりりと緊張が走る。

すると、かつて“札付きのワル”だったという浩喜（一ノ瀬ワタル）が突如失踪。消防団も総出で捜索に当たったが、その甲斐も虚しく水死体で発見されるという事件が発生した。

緑豊かで美しく見えていた集落が、一転して人里離れた怪事件の巣窟として、おどろおどろしさを増す。