衝撃のクライマックス
調べていく過程で清義は、美鈴と同じ児童養護施設にいた頃に起こした事件。そして、学費を稼ぐために美鈴とともに始めた痴漢詐欺の過去、そしてそのターゲットが馨の父である佐久間悟(筒井道隆)だったこと、さらに佐久間がその後、事件がきっかけで精神を病み自殺していたことなどが分かってくる。
清義は、なせ馨が無辜ゲームに2人を誘ったのか、さらにその場で刺殺体となっていたのかが、おぼろげながら、徐々に分かってくる。そして、美鈴が持っていたもののロックが掛かっていたSDカードが、この事件に至る全てを詳らかにし、法廷は騒然となる…。
ここで注目したいのは、美鈴を演じる杉咲花の演技だ。
一切、黙秘を貫いていた一方で、接見時には一旦スイッチが入ると、何かに憑りつかれたかのように清義に食ってかかる凶暴性を露わにするのだ。
一方で法廷では、裁判官の忠告を無視して、狂ったように笑い転げるシーンもある。喜怒哀楽の表現が突き抜けているのだ。
とことん目の前の仕事に真摯に取り組む清義を演じる永瀬廉の純粋さ、天才である一方で、どこか陰があるキャラクターの馨を演じる北村匠海の表情…、いずれも好演を見せているが、杉咲の狂気が垣間見えるこの演技には度肝を抜かれた。
主役の永瀬、さらに北村をも食わんばかりのド迫力だ。サイコパスと化した杉咲花…。本作の大きな見どころの一つかも知れない。