「何を守り何が守れなかったのか」
観終わった後、法律の印象が変わる
メガホンを取った監督の深川栄洋は「この映画は、法律は何を守り何が守れなかったのかを描いている」と語っている。
また、原作者の五十嵐も「法律は社会の根底に流れるルールであると同時に、不安定で理不尽な世界を生き抜くための武器」、さらに「事件の謎が解き明かされた時、法律や裁判の印象が変わっていたら、そして、黒と白の間にある灰色の部分について考えていただけたら、とても嬉しい」とも語っている。
作中で児童養護施設で問題を起こした幼い清義に対し、弁護士の釘宮昌治(生瀬勝久)が語った「世の中に出たら、武器になるのは暴力ではなく知識」というセリフが非常に意義深く、印象的だ。
監督も原作者も、全ての人が安全で、平等であるべき世の中にするために作られた法律が、決して全て正しいというわけではないという思いを表現している。
そして、その現実を、本作の複雑怪奇なミステリーの中に仕込んでいるのだ。
(文・寺島武志)
【作品概要】
監督:深川栄洋
原作:五十嵐律人
脚本:松田沙也
永瀬廉、杉咲花、北村匠海、柄本明、生瀬勝久、筒井道隆、大森南朋
配給:東映
©五十嵐律人/講談社 ©2023「法廷遊戯」製作委員会
2023年製作/97分/G/日本
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