禰豆子の笑顔と声に何度でも泣かされる
自宅での鑑賞は、どうしても日常音が耳に入るので集中を削がれる場面もあるだろう。だが、劇場は外界から遮断された空間であるため、静寂の中で物語に没入でき、繊細な音までも味わい尽くすことができる。
キャラクターの声もそう。中でも聞き逃せないのが、禰豆子の声だ。半天狗が里の人を襲う中、夜明けが近づき、太陽の光に焼かれる禰豆子。
炭治郎は半天狗を倒すか、禰豆子を助けるかという究極の選択を迫られ、最終的には禰豆子に背中を押される形で半天狗にとどめを刺す。
唯一残された家族の禰豆子を失った悲しみに打ちひしがれる炭治郎。そんな彼の前に、太陽を克服した禰豆子が現れ、鬼になってから初めて言葉を発する。それまで流れていた挿入歌『竈門禰豆子のうた』(椎名豪 featuring 中川奈美)が一瞬止まり、「おはよう」と。
声優・鬼頭明里の透明感あふれる声と、圧巻の映像美で表現される、太陽の下で光を受けて輝く禰豆子の笑顔。コミックでもアニメでもすでに見た展開であるにもかかわらず、新鮮な感動があり、自然と涙が溢れた。