世界の終末に描かれる人間模様
コロナ禍の中でドラマ版が放送され、「ウイルス」という言葉に過敏なご時世だったこともあり、ヒットした反面、批判も浴びた本作。コロナ禍が去った今、完結編をリリースするタイミングとしては絶好の機会だったのかもしれない。三十路を迎えた竹内涼真の演技も渋みを増していた。
しかしながら、物足りないと感じた部分もある。せっかくの劇場版だ。しかもタイトルに「世界が終わる日」「FINAL」という文言がある割に、物語自体はユートピアのビル内でほぼ完結してしまっている。あまりにも世界観が狭すぎる印象だ。
「世界が終わる」と言い切っている以上、もっと“終末感”が欲しいところだ。
それでもゾンビアクション作品と謳っていながら、単にゾンビが暴れまくる単調なストーリーではなく、しっかりとした人間ドラマを描いており、造形にもこだわったであろうゾンビをあえて“脇役”とし、最も恐ろしいのは人間である半面、最後の最後に人を突き動かすのは「愛」であるという明確なテーマを持って製作されている点は評価に値する。
(文・寺島武志)
【作品情報】
監督:菅原伸太郎
脚本:丑尾健太郎
製作:桑原勇蔵、松本達夫、菅井敦、市川南、高谷和男、松本拓也、桑原佳子、加藤幸二郎、小林栄太朗
出演:竹内涼真、高橋文哉、堀田真由、板垣李光人、窪塚愛流、橘優輝、吉柳咲良、須賀健太、味方良介、黒羽麻璃央、吉田鋼太郎、中条あやみ
主題歌:菅田将暉『谺する』
製作:映画『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』製作委員会(日本テレビ放送網、ホリプロ、東宝、Hulu、読売テレビ放送、バップ、日テレ アックスオン、テンカラット/STV、MMT、SDT、CTV、HTV、FBS)
配給:東宝
2024/日本/116分/PG12
©2024「君と世界が終わる日に」製作委員会
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