映画『キングダム』最終章、キャラクター再現度をガチ評価(5)漫画の真似なんてしない! 我が道を行く俳優は?
漫画家・原泰久による大人気コミック『キングダム』実写化シリーズ最終章となる映画『キングダム 運命の炎』が公開中だ。今回は、映画版キャストの再現度に着目し、実写版で最も活躍したキャストは一体誰なのか、原作ファンのライターが忖度なしでジャッジする。(文・ZAKKY )【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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原作のイメージを意識しすぎて萎縮してしまう俳優とはレベルが違う
龐煖/吉川晃司
龐煖(ほうけん)は前作のエンディングシーンで突如現われた、その身に神を宿す“武神”と畏れられる趙国総大将である。その強さは「飛信隊」の主要人物である、有義(やべきょうすけ)をも、あっさりと惨殺するほど。
圧倒的な強さを持つキャラとして、本作では様々な意味で異彩を放つ龐煖だが、演じる吉川晃司は、「原作のルックスに寄せる」といったみみっちい戦略など立てずに、自身のキャラクターを貫くことで、役に説得力を持たせている。文字通り、力技である。
思い返すと吉川は『さらば あぶない刑事』(2016)でも、ラスボス(キョウイチ・ガルシア)を演じており、その貫禄たるや相当なもの。布袋寅泰と組んだCOMPLEXも知らない、名曲「モニカ」も知らない若い世代の観客をも、堂々たる演技で魅了することに成功している。
もちろん年季の入った吉川ファンも満足の1本となっているのは言うまでもない。前述の『さらば あぶない刑事』の撮影時、足を骨折していた吉川晃司。村川透監督の機転により、杖を着いたキャラクターに設定がアレンジされたというエピソードはつとに知られているが、本作では、蹴り技満載のアクションを魅せつけており、作品の垣根を超えた、8年ぶりのリベンジにホッと胸をなでおろしたファンも少なくないだろう。
また、原作では基本、瞳が描かれておらず終始「白目」の龐煖だが、本作で吉川晃司は、「ギロリ」と横目を見せ、ニヤリと笑う演技を節々で見せる。漫画ならではの表現である「白目」を地で再現せんとする吉川の役者魂に頭が下がる思いだ。
吉川晃司には何をやっても吉川晃司として、万人を納得させてしまう力がある。「俺が、吉川晃司だ、何か文句あんのか!?」とでも言いたいかのようなその立ち振る舞いが、はからずも龐煖のイメージと合致し、見事にキャラクターを再現している。原作のイメージを意識しすぎて萎縮してしまう俳優とはレベルがそもそも違うのだ。
(文・ZAKKY)
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