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唯一の残念ポイント:トニオの個性が光る名場面がカットされている!

NHKドラマ『岸辺露伴は動かない 密漁海岸』公式Xより

NHKドラマ『岸辺露伴は動かない 密漁海岸』公式Xより

トニオは露伴と同じく「ギフト能力」(※原作では、スタンド能力/パール・ジャム)の持主で、相手の手を見ると、その人の体調不良がわかる。そして、その能力で作った料理で肩こりであれば、肩の垢が剥がれる、眼精疲労であれば、大量の涙が出て、強制的に治してしまうという料理を提供する、善意だけで生きているとんでもない人間なのだ。

話が少し横道に逸れるが、『ジョジョ』本編における彼の特異な存在感について紙幅を費やしたい。

『ジョジョ』原作本編第四部は、一つの街の中で起こるサスペンスであり、主人公・仗助たちの日常の風景を描いた、他の部とは違ったテイストであり、日本が舞台ということもあってか、他に比べても群を抜いた人気を誇るパートの一つである。

そして、トニオは「絶対に何か奇妙なことを企んでいる敵」と思わせておきながら、結局、最後までただの生真面目な料理人であるという『ジョジョ』史上、最も稀有なキャラクターなのだ。

さて、ここまでのストーリーの流れは非常に素晴らしかったのだが、今作において唯一残念なポイントを挙げたい。

原作本編では仗助がトニオのことを怪しみ、こっそりとトニオがいる厨房へと侵入する。

すると、鬼のような形相になったトニオが「そこで、何をしている!」と、レンガくらいの大きさの石鹸を手に仗助に殴りかかろうとする。

やはり、こいつはヤバいやつだと逃げようする仗助に対し、『ここでは石鹸で手を洗いなさい!』と、手洗いを勧めるトニオと、呆気にとられる仗助。

そう、トニオは、ただ単に料理人としてのプロ意識として、厨房内のクリンリネスにこだわっていただけだったという、読者を良い意味で裏切る、トニオさんを語る上で欠かせない名場面である。

しかし、今作ではそのシーンはまったくなかったのだ!

「露伴相手にそのやりとりがあっても、めちゃくちゃ、ハマるやん! むしろ、開始早々から露伴版のそのシーンが観られると、待ち構えていたのに!」と、筆者は肩を落としてしまった次第だ。

そうしたコメディ―チックな一連の流れがあるからこそ、トニオさんの善人ぶりがさらに際立ったはずだ!と、地団駄を踏んだジョジョファンは多かったのではないだろうか。

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