誰もが絶対に無関係ではない「流通」がテーマ
センターには警察の捜査が入り、エレナは物流を止めないためにも孔と連続爆破事件の犯人を突き止めようとするのだが、本作は単純なミステリーではない。本作と同じく監督・塚原あゆ子×脚本家・野木亜紀子×プロデューサー・新井順子の黄金トリオが手がけた『アンナチュラル』『MIU404』と変わらず、犯人の正体やトリックの内容よりも、事件を起こした動機やその背景に重きを置いている。
集団自殺に見せかけた殺人、不当な労働の末に起きた事故死、いじめを苦にした自殺、外国人技能実習の窮状に一矢報いるための強盗など、『アンナチュラル』『MIU404』で扱われる事件・事故には、現実社会の問題と地続きにある、やるせない真実が隠されていた。
そのどれもが他人事ではいられなくなるエピソードだったが、制作チームは今回の映画において鑑賞者の誰もが絶対に無関係ではないテーマを設定している。サイトから欲しい商品を注文すれば、数日のうち、早ければ翌日には指定した場所まで商品を届けてくれる。
おそらく誰もが一度は利用したことがあり、普段はまさか届いた荷物が爆発するなど露にも思わず、「便利な世の中になったなあ」なんて思いながら日頃サービスを享受しているだろう。
けれど、一度でもその裏側にいる人々に思いを馳せたことはあるだろうか。