『アンナチュラル』『MIU404』の登場人物のその後
また本作は『アンナチュラル』『MIU404』とのシェアード・ユニバース作品であり、三澄ミコト(石原さとみ)、中堂系(井浦新)ら「不自然死究明研究所(UDIラボ)」のメンバーや、伊吹藍(綾野剛)&志摩一未(星野源)をはじめとする警視庁刑事部・第4機動捜査隊の面々も登場している。ただあくまでも自然な形での登場であり、中には物足りなく感じる人がいるかもしれない。
だが、彼らもまた本作には欠かせない存在であり、嬉しく思う。中でも、胸が熱くなるのが、勝俣奏太(前田旺志郎)が4機捜の新たな隊員に加わった。また、白井一馬(望月歩)も登場し、元気な姿を見せている。
ライブ配信でクラスのいじめを告発し、自ら命を絶とうとしていた白井と、先輩たちの不祥事のせいで所属していた部活が廃部となり、仲間とともにやり場のない怒りを警察への虚偽通報によって解消していた勝俣。白井はUDIラボ、勝俣は4機捜の面々によって、考え得る最悪の事態を免れたからこそ、今がある。
『MIU404』第3話で、4機捜の隊長・桔梗ゆづる(麻生久美子)が少年犯罪について「私はそれを、彼らが教育を受ける機会を損失した結果だと考えてる。社会全体でそういう子どもたちをどれだけ掬いあげられるか。5年後、10年後の治安は、そこにかかってる」と語っていたのが心に残っている。
誰と出会うか、出会わないか。誰が何をしてくれたか、何をしてくれなかったか。ピタゴラ装置のように、たったそれだけでその人のその後の人生は大きく変わる。出会わなかった、してもらえなかったことによって起きた悲劇を、この制作チームが届ける作品は決して「自己責任」の一言で終わらせない。
今回の連続爆破事件に関しても、分岐点はたくさんあった。だけど、本人がヘルプ信号を送っているにも関わらず、誰も手を差し伸べず、見て見ぬふりをした。結果、最悪の事態が起きたのだ。