スクリーンに提示される「目撃証言」と「科学鑑定」への反証
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「狼が来た!」と嘘をついて村人を惑わせたせいで、本当に狼が襲ってきたときに信じて貰えず、襲われてしまった羊飼いの少年。生徒の多くが「嘘をつき続けると誰にも信じて貰えなくなる」という教訓を当然のように受け入れる一方で「嘘をついたのは悪いけど、本当のことを言っているかもしれないのだから大人は常に信じる姿勢で望むべきです」と反論した少女がいた。
過去の行いや風評、感情という主観に流されない冷静かつ客観的な視点。二村真弘監督もそういう少年だったのではないだろうか。
「私は何かとんでもない思い違いをしているのではないだろうか」
二村監督は本作で事件の再検証を試みていく。死刑判決の根拠とされている「目撃証言」と「科学鑑定」への反証がスクリーンに提示されていく。それがいかなるものかはぜひ劇場で確かめてほしい。自分が裁判員制度で選任された裁判員として判断を委ねられたような感覚に陥るかもしれないし、自分の手に林眞須美さんの人生を託されたような重責すら感じるかもしれない。