「舞台劇の臨場感と映画ならではの表現に瞠目」村松健太郎(映画ライター)|映画『木の上の軍隊』マルチレビュー

公開中の話題作を4人の評者が“忖度なし”で採点する新企画「映画チャンネル」マルチレビュー。今回は、堤真一×山田裕貴共演の映画『木の上の軍隊』を徹底レビュー。果たしてその評価は? 点数とあわせて、本作の魅力と課題を多角的に掘り下げる。※評価は5点満点とする。(文・編集部)

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舞台劇の臨場感と映画ならではの表現に瞠目

村松健太郎(映画ライター)

【採点評価】4点

 井上ひさし原案の同題舞台の映像化。これまで舞台では山西惇と藤原竜也や松下洸平などの組合せで演じられてきたが映画ではこの堤真一と山田裕貴という並びに。二人ともシリアスもコメディもこなせる俳優なので、こういう悲喜劇でも安心して見ることができる。

 基本的にはタイトル通りの”木の上の二人”だけのお話なので、舞台劇を見ているような感覚になる部分もあったが、戦争シーンや幻想シーンなどは映像だからこそできる表現であり、映画化した意味もあるだろう。

 すでに沖縄では公開されているが、全国公開の際には多くの人に見て頂き、いろいろな感想が出てくることに期待。終戦から80年という節目の夏に相応しい一本。

【著者プロフィール 村松健太郎】
脳梗塞と付き合いも15年目を越えた映画文筆屋。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在各種WEB媒体を中心に記事を執筆。

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【了】

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